対岸の火事ではありません
2012/07/1 カテゴリ:事業承継
こんばんは。
コアコンサルティングの土田正憲 です。
6月30日号の週刊東洋経済に、ニトリの株をめぐる争いについての記事が載っていました。
これは似鳥現社長を相手に、母、妹、弟が、代表取締役だった父の死去後の遺産分割に疑問をとなえて提訴したというもの。遺産分割協議書が作成されてから17年後の提訴、さらに母は90歳です。
この裁判、一審は似鳥現社長が勝訴しましたが、原告側はこの判決を不服として控訴を申し立てました。控訴審の初公判は7月19日。今後の動向が気になるところです。
さて、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割調停件数は年々増加しており、平成16年は1万件を超えています(下のグラフにはありませんが、司法統計年報によると、平成17年から平成20年までは1万件を超えています)。この背景には親族間の争いも少なからずあると考えられます。
出典:事業承継協議会「事業承継ガイドライン」
社長が健在な時は何もなくても、その死去とともに親族間の利害対立が生じ、とりわけ財産譲渡など事業承継が議論されるとなると深刻な争いに発展することも珍しいことではありません。
このようなことにならないよう対策としては、社長が生前に、贈与や遺言の作成を行い後継者に株式の集中を検討することや、会社法を活用し、相続人に対する売渡請求が可能な旨を定款で定めておくことなどの対策を講じることが考えられます。
ニトリといえば誰もが知っている東証1部上場の、インテリア家具の大手小売業。「中小企業にはあまり関係ないのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、決して対岸の火事ではありません。